19世紀でアメリカなおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの19世紀でアメリカな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月26日の時点で一番の19世紀でアメリカなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.5 1 19世紀でアメリカなアニメランキング1位
天晴爛漫!(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (265)
869人が棚に入れました
19世紀が終わりを告げ、20世紀の幕が上がろうとしている時代・・・天才だが社交性0のエンジニア『空乃天晴』と、凄腕だが臆病な侍『一色小雨』はある事故で日本からアメリカに漂流してしまう。無一文の二人が日本へ帰るために選んだ方法は、「アメリカ大陸横断レース」に参加すること。スタートは西海岸ロサンゼルス、ゴールはニューヨーク。自作の蒸気自動車で荒野を駆け抜け、クレイジーなライバルと競い合い、アウトローや大自然から身を守り・・・果たして二人は過酷なレースに優勝し、賞金を手に入れ故郷へ帰ることができるのか!?

声優・キャラクター
花江夏樹、山下誠一郎、悠木碧、雨宮天、斉藤壮馬、折笠富美子、櫻井孝宏、杉田智和、興津和幸
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

迷わずいけよ いけばアンダスタン

P.A.WORKS制作によるオリジナルアニメ

全13話完走してなお、時代設定いつ頃だろうと悶々としてました。

新政府とか言ってるから明治にはなってるよね
新右衛門さん帯刀してるし廃刀令前の明治期1870年頃か?
モブの発明王がフィラメント閃いてるっぽいし1880年頃か?
あれ!?それ{netabare}(飛行機){/netabare}って20世紀だったような…

すいませんあらすじに書いてました。以下の通りだそうです。しっかり読もう前情報!

 19世紀が終わりを告げ、20世紀の幕が上がろうとしている時代…


変わり者の科学小僧・空乃天晴(CV花江夏樹)が主人公。人情の機微を知らない偏屈科学者タイプです。となると横で振り回されるキャラが欲しくなるわけで、剣術道場の真面目そうな倅・一色小雨(CV山下誠一郎)がお目付け役となります。小雨は『一休さん』の新右衛門さんに見た目も雰囲気も似たお方。天才を引き立てる凡人代表です。
巻き込まれた一騒動から逃れるどさくさで船に揺られてロサンゼルスへ到着。アメリカ横断ウルトラク…大陸横断の自動車レースに挑むってお話です。

天晴(あっぱれ)が小っちゃい頃に蒸気船を見て目覚めちゃったというのが根っこなので、エンジニア奮闘記みたいなのをレースを題材にしてやるんだろうなぁと期待。偏屈な天晴と凡人小雨のキャラ配置は盤石そうです。
そうして楽しめたのが中盤まで。味変が生じて好みが別れそうな終盤が待ち受けてるのでお楽しみを。


味変1:キャラ変
{netabare}天晴には最後まで自己中な偏屈小僧でいって欲しかった。豆腐メンタル化して萎えた。{/netabare}

味変2:??
{netabare}レースそっちのけになっちゃった。こちらはまあOK。{/netabare}


あまり気をてらわない王道らしい作品かと思います。
早々にキャラを勢揃いさせて固定メンバーを深掘りしていくスタイル。起承転結の転があってきちんと与えられた尺で完結する。画も崩れちゃったら何言われるかわからないブランド制作会社です。バトルアクションも背景も砂ぼこり舞うレースシーンもいい感じですよ。
このルート66っぽい導線や先々の経由地で物語が動くことから『イージーライダー』的なものを想像しました。かなりおちゃらけてますがね。

ただし、エンジニア奮闘記を期待してた私はちょっと肩透かしを食らって影を落とした感じです。わりとご都合だったのであまり気にせず臨まれることをオススメします。
総じて…良さげなパーツを揃えているんだけど作り始めるとしっくりこなくて、それでもなんとか完成品の体裁を整えた感じ。でこぼこならそれで尖らせればよかったのに、となんとも惜しい作品です。



※ネタバレ所感

■新しい時代の幕開け

{netabare}自動車レースの妨害については、自動車の台頭を快く思わない鉄道王っぽいおっさんの依頼をもとにギル(CVツダケン)は動いていたわけでした。新しい時代の胎動そして抵抗。
それであっさりおっさんを殺しちゃってるわけで、そうするとレース妨害する理由がなくなるわけで、それでもレースの邪魔を続けるわけで、そこで持ってきたのが

 力が支配する世界をきぼんぬ!

だそうです。時代設定がそうだからって世紀末救世主伝説に寄せなくても良かったのにと思いますけど、あまり理由は重要視してなかった模様。まあむき出しの暴力が支配する西部劇世界の終焉という見方もできますが、それにとって代わるのが科学技術というのもピンときません。
時代に取り残された徒花って設定も嫌いではありませんがそういうわけでもなさそう。動機づけが弱かったです。{/netabare}

{netabare}レースを楽しむでもエンジニア奮闘記でもなく、“レース仲間VS悪いやつ”にシフトしていくのは構わないのでラスボスは憎たらしい悪役らしい悪役にさせて欲しかったですね。
ホトト、シャーレン、アル、偽ギル兄弟、ディラン、そして杉田…じゃなかったTJと各々いい感じで掘り下げられていました。そこに天晴と小雨も加えたレース仲間たちの魅力と釣りあいを持たせることは至難だったかもしれませんが、ここさえよければレースそっちのけでも評価上げてたと思います。{/netabare}


■なんか気になった些細なこと

1.{netabare}レース実況役の平田真菜さん。『ケンガンアシュラ』でもリング実況でした。{/netabare}

2.{netabare}シャーレン(CV雨宮天)がストⅡの春麗っぽい。一瞬スピニングバードキックのカットいただきました。{/netabare}

3.{netabare}本作MVPはシャーレン雇い主のおっさん。かっこよさが群を抜いてました。{/netabare}

4.{netabare}いやアルのお付きソフィア(CV折笠富美子)かも。テキーラをショットでいける女性には惚れる。{/netabare}


■いいよね!近現代

100年前くらいの設定。場所はアメリカ。街並み背景が楽しいです。このちょっと昔ってのがやっかいで、大昔なら山村の田舎を想像しながら文明の利器を排除すりゃOKで済むのがそうはいきません。
同じP.A WORKSの『天狼』では昭和初期でした。こちらも背景画が楽しかった作品。しっかりノウハウ溜めてると思うので、この“ちょっと昔の世界”で大作つくらないかしら?とひそかに期待してます。
いい脚本家呼んでくださいね。



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

-----

2020.09.26 初稿
2020.11.02 タイトル修正
2021.06.16 修正

投稿 : 2024/12/21
♥ : 42

ストライク さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

明治末のキャノンボール

最後まで観た感想

明治末にアメリカで行われたキャノンボールでした。
まぁ 面白かったです。
最初はキャラ紹介もあってなかなかレースが始まらず、ヤキモキもしたんだけどね。^^;
いざ始まってみると、いろんなアクシデントがあってもライバルたちとの友情?などがあって、強力したりする場面があり、それはそれで素晴らしくて美しいかもだけど、なんだか なあなあな関係というか・・・
もうちょっと自分以外は敵というか、シビアにレースに挑んで欲しかったような気もしました。
レース終盤は、ギル・T・シガーの妨害により、レースそっちのけで「サウザンドスリー」退治に話が変わってしまい、なんだかなぁーで、これじゃない感が(苦笑)
これ
ドラマだったけ?って思ったよ。
でもまぁ、最後はちゃんとレース再開して決着もついたので、まぁ そこそこ満足できたかな?
でもやっぱり僕としては、もっとレースメインで抜きつ抜かれつのハラハラドキドキをメインに見てみたかったです。


どうでもいいつぶやき
天晴って車の免許 持ってたの?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最初のレビュー


P.A.WORKSのオリジナルですかね?

時代設定は明治末らしいけど、これ 子供の頃観た映画「キャノンボール」まんまの内容です。
一応3部作まであるけど、1と2にはジャッキー・チェンも出演してます。
(1ではスバル レオーネ。2では三菱 スタリオンに乗ってました)
なついです。(誰か観てる人いるかなぁ?)

アメリカ大陸横断レースなので、必ずしも早い車が勝つ訳じゃなく、耐久力や運も必要なので面白いんですよね。
本作のキャラでは、無頓着で発明化みたいな天晴と、刀を携帯する士族の下級役人 小雨との凸凹コンビで、なんだかんだで良いコンビだと思います。
他のキャラは今後出てくるだろうけど、キャラは大事なので面白い奴 期待したいです。

しかし
コロナの影響で3話まででストップ。
残念ですわ。
どのくらいの期間延期するか分かりませんが、いきなり4話から始まっても細かなとこ忘れてる自信があるので、また1話から放送始めてくれると嬉しいんですが。。。

幾つかの作品が延期になってますけど、早くいつも通りに戻って欲しいですね。
てか、これを期に アニメは完全出来上がってから放送決定した方がいいんじゃないかと思いました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 32
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

冒険しない冒険

5話までの感想{netabare}
悪くはない、悪くはないのだけど「なかなかレース始まらないなぁ」、「全何話か知らないけど早くレース始めないと放送終わっちゃうぜ」って感じで4話までヤキモキしたのが本音かな?
とはいえレースでいちいち回想シーン入れられても困るのでここら辺の匙加減はなんともいえない、とりあえず5話でレース始まってよかったよかった。
ところでキャノンボールやチキチキを髣髴とさせるという指摘が多いが、個人的には小雨が“一休さん”の新衛門さんに感じて仕方ないw、どれも狙ってのことだろうけど。
ついでにチキチキは殆ど記憶に無いのだが、「より原始的な構造の方が壊れにくい・(マシントラブルなど起きたら)最後は乗り手の体力勝負」ってことを当時思ってか思ってなくてか岩石オープンが一番好きだった…と思う。
こっちはエンジニアに焦点を当てた作風のためあんな原始人を登場させるワケには行かなかったのは分かるが、世代ならケンケンのモノマネは誰でもやったハズで、こっちにはそれが居ないのは…どういうこっちゃー!!{/netabare}

7話までの感想{netabare}
マーチャン…ゲフンゲフン、小動物キター!
これで特徴的な笑い方をしてくれたらそれだけで色んなものが許せてしまう気分だけど、さすがにそこまであからさまじゃない?
でもってメインの話は──

天晴、お前人の心があったのか!

この先レースを通じてそこら辺を獲得してく展開になるのかね?
小雨もなにかトラウマを抱えてるらしくそっちの掘り下げも期待したいところだけど、敵討ちはとっくに済ませててその時の感触が恐かったりして?
いやだってアメリカで敵に遭遇って無さそうだし。
そのうち小雨「お前は人を殺したことがあるかい?」とか言い出さないかなー、どうかなー。{/netabare}

10話までの感想{netabare}
あ、知ってる、これ小雨が天晴号のAIになる展開だ。
と冗談は程ほどに、そんなことは無いだろうけどもしそうなったら非難轟々になろうが私は絶賛するぞw

と、最新話の感想を先に書いてしまったけど、いやはやどうなんだろうね?
8話小雨がアッサリと刀を抜いて悪者やっつけて「え、それで終わり?」と肩透かしを食らったかと思えば、9話温泉回ではそれぞれキャラが立ってて面白かった。
天晴が考え事をしなから町を歩いて周囲がしっちゃかめっちゃかってのは昔ながらのキッズアニメ調で懐かしさすら覚えた。
次回以降への「引き」も、ルート変更でよりにもよって妨害を仕掛けてる鉄道会社のお膝元でレースを続行することになり、さーてどれだけ妨害をかわしながらレースをするんだろう?と期待を持たせといて…。
10話これかい!
レースしねぇなぁ…。
まぁ私はこの作品の方向性をよく理解してない(=期待してない)のでレースしなくても別にいいやと思うようになってるけど、車まで破壊して、いよいよもってレースする気はないと断言された気分。
つか人間が超人すぎひん?これなら人が車背負って走った方が早いんじゃないか?{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
なんだろうね、奇抜なレーシングカーが続々登場する作品かと思ったら人間の方がトンデモだらけ。
で、そんなトンデモ人間出すのなら奥歯に加速装置仕込むなり生身で列車止めるなりすりゃいいのにそれは無しで煮え切らない、中途半端。
ギルを倒すのは天晴のビックリドッキリメカにするとか、最終回の最終コーナーも小雨が夏実ブレーキ(“俺たちは天使だ”“逮捕しちゃうぞ”ネタ)するなり3人で生身の足で壁走りすれば、それまでの「ん?」って部分も帳消しに出来ただろうに…。
何を見せたかったん?がブレブレというか、企画当初は面白いアイデアだったものが、会議を繰り返すうちに無難なモノになってしまったような、そんな感じ。
あーあれだ、「手に持った爆弾が爆発する」で例えると、バラバラに砕け散って肉片飛び散らせるのと黒焦げアフロでケホっと煙を吐くの、2パターンが同じ世界に混在してる感じ。

最終回まで見てから思い返してみて、そういったチグハグ感が顕著だったのは4話になるかな?
シャーレンが女性でもレースドライバーを務められることを証明するために本職のレーサーと勝負する回。
その中で対戦相手が意図的に接触して、シャーレンのドライブテクで大惨事になることを防ぎ、対戦相手が親方にブン殴られる展開があるのだけど…。
これで「ああ、この作品はちょっとでも接触したら大変なことになるリアル寄りな世界なのね」と誤解してしまう、実際はリアルそっちのけのトンデモ人間大集合なのに。
更に、じゃあそのシャーレンのドライブテクはのちに発揮されるシーンがあるのか?といえば、無い。
思い返せば思い返すほど4話要らない。

それと12話、荒野の7人だか7人の侍をやりたいんだか知らんし、胸ポケットにしまったコイン(コインじゃないけど)のお陰で銃弾防ぐネタって…今更?
だったら小雨がジルに撃たれた時、懐に入ってた小ホトトに当たって助かったでいいじゃん、アルマジロにでもしてさ。
更に松田優作ネタって…最近でも“バナナフィッシュ”でそれほど反応芳しくなかったと思うのだけど…。
なんか噂では監督は“チキチキマシーン~”を見てないとのことなのだが、見てないと知らないはイコールじゃないよね?
松田優作ネタ使う暇があるなら小ホトトにあの笑い方をさせろよと…昔の作品のパロやるんだったらさ。
同期放送の“デカダンス”の「アクシズ返し」はナツメにやらせることが無い・居る意味の無さを誤魔化す狙いだったと思うのだが、こっちは意図が分からない。
同じく同期放送の“ラピスリライツ”は毎回ひと言パロネタを入れるという縛りをやってたみたいなのだけど、それに比べるとこっちのパロ入れるタイミングの下手さが目立つ。
ちょっと前やった“グランベルム”の「スイカバー」は、もう作画班が一杯一杯で仕方なく…というのが実情らしく、こっちも同じ理由?と考えるにはちょっと無理がある。
どうにもこの煮え切らなさがもどかしい。
あ、シャーレンの戦闘シーンはバーチャ2か3辺りを意識した?
残念、そのネタは“ハイスコアガール”でもっと上手に料理してます。

その一方、ギルが鉄道会社を裏切った件は…これは私が富野作品の見過ぎなのかな。
「最初から裏切るつもりで、資金や物資をせしめられるだけせしめようと従ってるフリをしたんだろう」と解釈してそんなに変には思わなかった。
但しこれはあくまで個人的な勝手な解釈で、実際は作中でそんな描写は一切無いし唐突だという意見も分かる。
結局既存作品のイメージにおんぶに抱っこでやり過ごしたってことになっちゃうのかな?


先述の通り監督はチキチキ~は見てないそうで、だからといって作品から若さを感じない。
アイデアの尽きた老人が既存イメージに寄りかかって手癖で書いただけのような無難さというか退屈さというか。
で、冒頭に書いた「企画当初は面白いアイデアだったものが、会議を繰り返すうちに(老人の横槍のせいで)無難なモノになってしまったよう」という結論に行き着いた訳ですが…実際は知らんけどね。
守りに入った作りと言い換えてもいい。
もう少し思い切ったことしてもいいと思うんだけどなぁ…オリジナルじゃ難しいのかなぁ?{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 19

65.0 2 19世紀でアメリカなアニメランキング2位
屍者の帝国(アニメ映画)

2015年10月2日
★★★★☆ 3.7 (301)
1622人が棚に入れました
19世紀末、かつてヴィクター・フランケンシュタイン博士が生み出した、死体に新たな生命を与えて「屍者」として動かす技術が世界に広まり、いまや屍者は労働力や兵力として世界を支えていた。
親友フライデーとの約束のため、自らの手で違法に屍者化を試みたロンドン大学の医学生ジョン・H・ワトソンは、その技術と野心を見込まれ、政府の諜報組織「ウォルシンガム機関」にスカウトされる。
そこで極秘任務を与えられたワトソンは、フランケンシュタイン博士が残した、生者のように意思を持ち言葉を話す屍者=ザ・ワンを生み出す技術が記された「ヴィクターの手記」を求めて旅に出る。

声優・キャラクター
細谷佳正、村瀬歩、楠大典、三木眞一郎、山下大輝、花澤香菜、大塚明夫、菅生隆之
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

思考は言葉に先行する

WIT STUDIO制作。

思考は言葉に先行する。
言葉があるから心がある。
そこに魂=意識が宿る場所があるのだ。
この作品のエッセンスが凝縮された、
印象深いモノローグで始まる。

舞台は19C末のロンドン/英領ボンベイ/日本。
ワトソンとフライデーが、
ある男の手記を探す冒険譚である。
{netabare}人は死亡すると体重が21g減少する、
人類史上最初に死者を蘇らせた男の手記。{/netabare}

そこに魂は存在するのか?
圧巻の映像で鬼気迫るものを感じる。
多くの指摘があるように、
{netabare}後半物語は崩れていくように感じるも、
ただこのテーゼはきつい、勝算がない。
人類が現実で未だ出せていない答えだ。{/netabare}
果敢にも挑戦したスタッフを評価したいと思う。

早逝した伊藤計劃原作である。
本来この作品も未完成とのこと、
天才とまで称された彼なら、
どんな結末を見せてくれたのだろう。
切り捨てるには惜しい作品です。

ハダリーリリスがエロカッコいい。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 48

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

【屍者(伊藤)の意思を追い続けるワトソン(円城とスタッフ)の旅】アニメーション史上最大のゾンビ映画!!!【そしてフライデー、とてもイイb】

伊藤計劃アニメ映画化三部作の第1弾
どうも過去を舞台にしたスチームパンクの今作を1作目に、近未来を舞台にした『虐殺器官』を次回作に、超未来を舞台にした『ハーモニー』で完結を迎えるつもりだったそうです
ただ例のマングローブ倒産で公開時期ズレ込んじゃいましたね、どうなるんでしょうか;


原作は伊藤さんが序文の草稿数十ページを書いた時点で死去された為に絶筆、盟友の円城塔が引き継ぐ形で2012年に完成を見ました
この映画自体、【原作とはほとんど別物】と呼べるほど改変されています
円城さんがそうであったように、今作のスタッフも伊藤さんが書き残した作品の世界観を、試行錯誤の繰り返しで“伊藤計劃作品”として完成させることに注力しています
(※ただし、「伊藤さんならこう書いた」という決め付けではありません)
この映画は屍者の意思を追う物語でありつつ、伊藤さんの意思を追う物語です


SFなので世界観だけ説明させて下さい


ヴィクター・フランケンシュタイン博士が屍者を復活させた事件から100年後の世界
その技術を兵力や労働力に用いることがアタリマエになった19世紀末
屍者技術の研究をしていたロンドン大学の医学生、ワトソン
彼は早慰した親友、フライデーを無断で違法な屍者として復活させる
ワトソンの腕を買ったイギリス政府の諜報機関は、彼にロシア軍を脱走した技術者、カラマーゾフを追うことを命ずる
カラマーゾフはアフガニスタン奥地に屍者の王国を築いたという
イギリス→インド→アフガニスタン→日本→アメリカ→イギリス
世界を股に駆けた旅の中で、ワトソンとフライデーは魂の秘密が記された“ヴィクターの手記”を巡る争いに混ざることとなる・・・


コナン・ドイル、メアリー・シェリー、ヴィリエ・ド・リラダン、イアン・フレミング、フョードル・ドストエフスキー、ジュール・ヴェルヌ、或いは19世紀末に実在した人物達・・・
著名な文学のキャラが次々と出て来るパスティーシュ小説が原作、ってかソレをさらに改変したから同人誌みたいな映画です
この手のは絶対的に苦手な方いらっしゃると思うので注意


物語の肝はやっぱりフライデー
原作と違い、ワトソンとフライデーが親友関係
フライデーが白髪アルビノで“イイ感じの美少年”
死んだ友を思わず復活させちゃった上に、だんだん生前の様子が垣間見えてきちゃったわけ
この辺のワトソンの葛藤が一番の見どころ
すごく丁寧に描かれていて改変としても、映画としても、これは大正解です


『ハル』のスタッフが再集結、主人公に細谷佳正を起用する辺り監督の拘りを感じます
ああ、脚本はフジを退社し自由の身となった山本Pでしたね・・・“Project Itoh”っておみゃーがコレやりたかっただけなのかよ、オイw


美麗な背景や煌びやかにCGで描かれる屍者技術の装置はスチームパンク好きには堪らないところでしょう
スチパン(狭義的にはエレクトリックパンク)アニメとしては『LAST EXEIL』や『スチームボーイ』を超え日本アニメ史上、最高に美しくカッコイイ世界観が描かれてます
記録媒体が挙ってパンチカードなのには笑いました


が、しかし!
オイラとして一番「スゲェな!」って思ったのが今作がたぶん【全世界中のアニメの歴史史上で最高の“ゾンビ映画”】であったことかな(爆)
特にゾンビなんてCGで描写すれば良いものを、ほとんどのカットでゾンビ独特の“歩き方”を作画しているというのにはアッケに取られましたw
いいぞ、もっとやれ


それにゾンビ美少年との友情の物語が重なる
全くいやらしさは感じさせずに、耽美な世界に魅入れる120分でもうお腹イッパイって感じで拍手です


でも、ここまでフライデーの存在が大きくなるとハダリー(花澤香菜)は結局のところ何なんだ、お話散らかりすぎだろ、って疑問もあります
(ワトソンがノンケだって示すためのキャラとか言うなよ!)
それこそ『ハル』を観て補完する必要があるんじゃ、とオイラは思うのです


なんだかんだで全く退屈しなかった素晴らしい映画です
伊藤計劃三部作とかカンケー無しにオススメしますb
唯一心の底からツッコミを入れたかったのは、楠大典さんが「バーナビー」を名乗っていたことでしょうか・・・
おまえはロックバイソンだろ!!!ってwww

投稿 : 2024/12/21
♥ : 21
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

娯楽作品としては原作よりよくまとまっています

-・-・-・-・-・-・-視聴前レビューー・-・-・-・-・-・-
本日公開の作品
私は来週けみかけさんと観てくる予定ですが
全くレビューが無かったので
誰か少しでも興味を持ってくれればと思い
筆を執ることにしました

この作品はノイタミナムービー第2段
Project Itoh3部作の一つとして
先陣を切る形になります

Project Itohというのは
2007年に彗星のごとくデビューし
2009年に世を去ったSF作家伊藤計劃の作品を
アニメ映画として公開するプロジェクトです

計劃が作家として活動できた期間は短く
世に送り出した長編作品は
虐殺器官
METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS
ハーモニー <harmony/>
の3本だけですが
その短い期間で書き上げられた作品は
閉塞していた国内SF界に
新たな潮流を巻き起こす契機となりました

PSYCHO-PASSが最初にアニメとして放映されていた時も
ネットでは計劃作品との共通点などが指摘されていましたが
こうやって同じノイタミナプロジェクトとして発表されると
やはりPSYCHO-PASSシリーズのルーツの一端は
伊藤計劃にあったんだなぁと改めて思います

既にお気づきの方もいると思いますが
前に述べた3作品の中に屍者の帝国は入っておりません
昔から文芸の神様というやつは
俊才を見つけるとすぐに手元に置きたがるようで
計劃もこの作品を数十ページ書いた時点で
神の御許へと召されていきました

後を引き継ぐ形で残りを円城塔が書き上げたものが
このアニメの原作となる屍者の帝国となります
円城氏はスペースダンディの豪華すぎる脚本家の1人だったので
小説はあまり読まない方でも
アニメに精通している方ならばご存知かもしれませんね

しかしまぁ
この作品は計劃自身がほとんど関与できていない上
他2作は近未来SFだったのに対し
この作品は19世紀を舞台にしたいわゆる伝奇ロマン
これをProject Itohトップバッターに持ってくるのは
かなりの冒険だと思います
Project Enjohの間違いじゃないのか?
とか突っ込みを入れたくなります
これがこけたら他の計劃作品に響くんじゃないか?
とか心配になります

しかしこの小説を計劃作品と認められるかどうかは別として
読み物として十分に面白かったのは確かですので
映画版の出来はどうなのかこの目で確かめてこようと思います

-・-・-・-・-・-・-視聴後レビューー・-・-・-・-・-・-

原作から比べると大分いろいろ弄ってありますが
概ねプラスに働いていたように思います

原作未読既読に関わらず楽しめる作品だと思います
原作を一切読まずに見た場合
ストーリーの細かい部分はよくわからないでしょう
しかし、そこを画面の中で細かく描写してテンポを損ねるよりも
アクションシーンで一気に押し切ってしまう方が
ずっとスクリーン映えするのは間違いありません
終盤の圧巻の映像美にはただただ絶句するばかりであります

そもそもの原作自体がハイパーテキスト性の高い小説です
文学におけるハイパーテキストすなわち超文脈とは
語句や人物、事件などの名前だけを作中に使い
その説明は作品の外に置いてあるものを指します。
もしもその言葉をしっかり理解したければ
Webのhtmlリンクをクリックして別のページに飛ぶように
別の小説や聖書、哲学書、理工書など開かなくてはいけません
場合によっては映画、漫画、アニメなどに行きつく場合もあります

この手法を使う事で限られた紙面の中に
無限の奥行きを出すことができますが
同時にベースとなるジャンルの知識に乏し人間には
その面白さがさっぱり理解されない危険性も孕みます

かつてエヴァンゲリオンが空前のブームを引き起こした背景に
この手法がありました
難解な言葉を断片的に並べ一切説明しない
その結果たくさんの解説本考察本が出版され
それらが飛ぶように売れたのは
作品の外にある科学・哲学・宗教を
ガジェットとして次々に使い捨てた結果
非常にたくさんのハイパーテキストリンクが張られていたからです

この屍者の帝国という作品でも鏤められた要素全てを理解するためには
SF・ミステリ・科学・哲学・宗教そして19世紀の歴史背景など
幅広いジャンルの造詣を要求されます
また原作ではハイパーリンクを張らずに
作中にて詳しく解説されている事柄も
映画では冗長すぎるため解説部分を丸々削除されていたりします

こんな風に書いていくと
まるでこの映画が極めて難解で一握りの人だけが楽しめる作品
というように見えがちですが
この作品の見事なところは
細かいところがわからなくても楽しめる点にあると思います
まっさらな状態でこの映画を見て細部まで理解するのは不可能ですが
スタッフもそんなことは承知の上で
全てを理解できなくても楽しめるように作ってあります
原作の魅力を言葉で説明するのではなく
直接感じてもらうというのがこの作品の切り口で
それは非常にうまくいっていたと思います

従って原作未読既読問わずオススメできる映画だと思います

以下原作と映画版の相違点について
{netabare}
かなりいろいろな点にアレンジが入っていますが
各国陣営のキャラ数の削減と果たす役割の変化が一番大きいと思います
物語の流れに沿って違いを確認していきましょう

英国

ジョン・H・ワトソン&フライデー

本作主人公にして最も大きく改変がされた人物
後にシャーロック・ホームズの右腕となる男
原作のワトソンは医学部の優秀な学生で
教授に推薦されウォルシンガムに所属することになります
そこで貸与された最新鋭の実験体が
Noble_Savage_007コードネーム:フライデー
つまりもともとワトソンの友人であったという設定自体が
映画版のオリジナルです
時折見せるフライデーの暴走も映画のみの設定
映画版のワトソンを突き動かす動機の大半はフライデーにあり
ワトソンとフライデーのエピソードは作品の中核の部分です
この部分がオリジナルなので作品としてはもはや別物に近い印象
先に映画を見てから原作本を読んだ人には
淡白すぎるワトソンがただ周りに流されて動いている様は
おそらくかなり物足りないのではないでしょうか?
このワトソン&フライデーの肉付けの巧さが
映画版を原作以上に魅力的な物語にしています

フレデリック・ギュスターヴ・バーナビー

ワトソンたちとは逆で原作でも映画版でも全く変わりませんw
実在の人物でアジアロシア境界を旅行し手記を発行しています
作品内ではその経験と胆力を買われ諜報員に選ばれたようです

エイブラハム・ヴァン・ヘルシング&M

ワトソンたちの上司にあたる人物たち
映画版では一人に役割をまとめています
原作ではMはほとんど出てきていませんが
弟が探偵をしているという発言から
マイクロフト・ホームズであると考えて良いでしょう
しかしマイクロフトはものぐさで人嫌いな性格なので
実際に表に出てきて指示を出したり対立したりする役割は
ブラム・ストーカーの作りだしたヴァンパイアハンター
エイブラハム・ヴァン・ヘルシング卿が担当しています
映画ラストにつなげるためにMの方の名前を残したのだと思いますが
クライマックスの立ち回りはMではなく
ヴァン・ヘルシングにやってほしかったところですね
なおトランシルヴァニアにおけるヘルシング卿の活躍も
作中ではザ・ワンと花嫁を巡って対決していたことになっています

ロシア

アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ&ニコライ・クラソートキン

どちらもカラマーゾフの兄弟の登場人物です
アレクセイとクラソートキンの設定は改変されていません
改変されてはいませんがいろいろと省略されています
そして結末もいじってあります

アレクセイの計画は自身を屍爆弾化し
「証拠品」として大物を吹き飛ばすという一種の自爆テロ
原作ではクラソートキンは屍者化しません
アレクセイを連れてぺテルスブルクに行き
アレクセイの計画を実行する役割がまだ残っているからです

映画の方ではインパクトを重視してか
アレクセイとクラソートキン両方とも屍者化してしまいました
これでは計画が実行できません
実行できない計画そのものの話が無かったことになり
アレクセイが一体何をしようとしていたのか
真相が明らかにされぬまま物語は進んでいきます

アメリカ

レット・バトラー

風と共に去りぬにおけるスカーレットの恋人です
原作ではピンカートンの一員でハダリーの上司
ハダリーの能力を使ってグラントを襲撃している張本人
本来なら主人公パーティの5人目だった男です
ハダリーが火炎放射器で屍者を一網打尽にするシーンは
元々は彼の登場シーンのはずでした

原作では大里化学の事件の後
日本編は続きがあり
会談するグラントと日本皇帝が襲撃されますが
首謀者が居なくなっている以上
エピソード丸々カットになっています

ハダリー・リリス

出典はSF小説未来のイヴ
映画版では発明王トーマス・エジソンが作ったことになっていますが
未来のイヴにでてくるのはそれをもじったエディソン博士
元に戻さずにエディソンで良かったような気もしますね

原作ではピンカートンの一員としてグラントに仕えていますが
実際の主はレット・バトラーで
彼の利益になること以外はやりません
屍者を操りグラントを襲撃していましたが
レット・バトラーが出てこなくなったことで
その設定もうやむやとなり
作中の彼女の存在意義自体がだいぶ薄くなっています

さらにはラストシーンでも出番を奪われています
原作では事件を終息に導いたワトソンは諜報機関に高く評価されます
しかし、その評価は身内だけではなく敵対者も含まれていました
レット・バトラーを人質に取られたハダリーが
暗殺者としてワトソンの前に現れます
ワトソンは事件の際に手に入れた屍者を作る菌株あるいは言語の結晶
それをハダリーの手で自らに注入し
諜報機関が容易に手出しの出来ない重要度の存在へと引き上げます
しかし、それによって元のワトソンの人格は失われてしまい
それが映画のラストシーンに繋がります

このシーンは介助者がハダリーからフライデーに変更され
そこに至るまでの経緯の描写もなくなっています
原作と同じような顛末なのかどうかも分かりません

日本

登場人物には特筆するものがありません

暗殺未遂事件の話は先ほど述べたとおり

ヴィクターの手記を見つけてからのシーンはほぼオリジナル
あそこも映画版ワトソンとフライデーの絆が確認できる良いシーンでした
ここに限らずフライデー絡みの改変はとにかく出来がいいですね

このあたりからロンドンに戻るまでは
ほとんど別物と言っていいくらいのオリジナル展開です

ザ・ワン

フランケンシュタインの怪物
チャールズ・ダーウィン
Noble_Savage_001
原作ではヴィクターによって造られたのではなく
ヴィクターが見つけ出し再起動させた古代文明の遺産のようです
その肋骨から生み出された彼の花嫁となる存在を
心変わりしたヴィクターが命を吹き込む直前に殺してしまったことが
メアリー・シェリーが脚色し記述した事の発端の物語という事になっています
映画版ではハダリーを花嫁に作り替えようとして失敗していますが
原作では虚空から花嫁を召還することに成功し
花嫁を連れて現場を去りそのまま行方知れずとなって終わります

おそらく原作を読んでいない人は
たいていの人がハダリーが花嫁になるシーンで
ワトソンたちが阻止して終わることをなんとなしに予測すると思いますが
ザ・ワンが花嫁を手に入れる原作の結末を先に知っていると
本当にどっちに転ぶかわからない手に汗握る展開でした

全体的に映画化における原作改変は成功だったと思います
やはりワトソンにフライデーという強い動機を与えたことが何よりも大きいでしょう
傍観者の代名詞でもあるワトソンを主役に据えたはいいものの
元来の傍観者としての性質と物語を動かしていく主人公の性質が
どちらも中途半端に発揮されてしまっているのが原作ワトソンです
よりアクティブなワトソンを用意して
傍観者となったのは事件後であると繋げた映画版のほうが
一味上手だった印象です{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27

67.4 3 19世紀でアメリカなアニメランキング3位
愛の若草物語(TVアニメ動画)

1987年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (55)
225人が棚に入れました
「世界名作劇場」第18作。19世紀中期の南北戦争時代のアメリカを舞台とした、オルコットの小説『若草物語』が原作。ペンシルバニア州に住むマーチ家には、長女メグをはじめとした仲良しの4姉妹が住んでいた。そんな中、一家のもとに北軍に従軍中の父が一年ぶりに帰宅するとの報せが入る。父が帰って大喜びの姉妹だったが、南軍の影は自分たちの町にも接近。やがて一家は叔母のいるマサチューセッツ州へ疎開することに…。

声優・キャラクター
山田栄子、潘恵子、荘真由美、佐久間レイ、中西妙子

Tnguc さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

夢見る四姉妹の日常アニメ

~
世界名作劇場のひとつで、マーチ家の四姉妹が織りなす日常アニメ。
本作では、四姉妹を中心とした賑やかな日常が描かれています。彼女達には大なり小なり夢があって、その夢を抱えて毎日を過ごしているのがポイントです。そんな彼女達の夢を主軸に物語は展開されていくのですが、基本的にワンマンプレーなので四姉妹の姉妹愛は意外にも薄かったです。しかし、四姉妹のキャラクターはどれも明確に造形されているので、とても面白く映し出されていました。心情が手に取るように伝わってくるので、何気ない会話の中でも十分に感情移入することができます。
世界名作劇場には大きく分けて二種類のジャンルがあって、一つは「小公女セーラ」や「ロミオの青い空」のような劇的な作品と、もう一つは「あらいぐまラスカル」や「名犬ラッシー」などの日常的な作品があります。「フランダースの犬」のような複合的な作品も中には存在しますが、本作は完全に日常寄りの作品です。初めこそは戦争の雰囲気が漂う展開でしたが、それを除けば極めて平凡な物語で、これが48話で構成されています。終始一貫して日常的な描写なので物語性は低く、悪く言えば平凡。物語のカタルシスも殆ど存在しませんでした。更に1話の中に小話を詰め込んだ構成なので起承転結が雑然としていて没入感もあまりありませんでした。そもそも日常アニメにドラマ性を求めるのが変な話かも知れませんが、せめて名劇である以上は道徳的なメッセージ性を持たせて欲しかったなと思います。それと、原作では第二部へと続くのですが、本作の場合は第一部で終わってしまうので打ち切りの様な最終回になってしまいました。本作の中だけでもアレンジを加えてキッパリと終わらせるべきだったなと思います。したがって、視聴後の満足感は他の名劇作品と比べて少し薄い印象となりました。
全体的に評価が低めとなってしまったのは、単純に日常モノが自分の肌に合ってないだけであって、作品自体は賑やかに描かれていたので誰でも十分に楽しめると思います。要は四姉妹のサクセスストーリーなどに期待するのが間違いであって、彼女たちの日常を覗くスタンスで視聴するのが正解だと思います。しかし、そのためだけに48話を今さら視聴するのは大変だと思うので個人的にはあまりオススメしません。マーチ家の日常は見ていて面白かったし、現に自分も飽きることなく完走することができましたが、四姉妹を通して得られたモノはあまりありませんでした。

物語:★★☆☆☆
・日常モノとしては良作だと思うけど、名劇的には凡作だと思う。南北戦争の緊張感が四姉妹の日常とミスマッチしていたが、ローリーが登場する辺りから急に面白くなります。
作画:★★★★☆
・人の仕草が記号化されてなくて自然体に描かれていました。
声優:★★★★☆
・エイミー役の佐久間レイが良い味してました。
音楽:★★☆☆☆
・新田恵利が歌うOPとEDが音痴すぎて酷い…。途中から別の曲に差し替えられてました。笑
人物:★★★★☆
・キャラクターが生き生きとしていました。ある意味で「サザエさん」のような作品。

個人的評価:★★★☆☆ (3.5点)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

R子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

日常系アニメここに極まれり

原作はあまりにも有名だが、四部作まで出版されている。
マーチ家の四姉妹を中心とした日常を描く物語である。

しっかりものの長女メグ、男勝りな次女ジョオ、ピアノが好きで心優しい三女ベス、大人びた性格の四女エイミー。
どんな逆境も母の大きな愛と、四人それぞれの強さで乗り越えていく。

この物語のスパイスとなるのは、なんといっても末っ子エイミーの愛らしい性格であろうと思う。語りもエイミーを中心に行われるが、声優さんもエイミーの大人びた口調に非常にマッチしている。

内容は、とある一家の何気ない日常を描いたもので、もしかしたら退屈に想えるかもしれない。
しかし、自分たちを取り巻く環境が変わっても信念を曲げず、誠実に相手と向き合っていくうちに徐々に周囲の家族へ向ける目が変わっていく様子は、見ていて清々しい気持ちになる。(ポルフィなどと比べてしまうが・・・)
四姉妹それぞれのエピソードが描かれるが、ベスと老人の話やそれぞれの恋愛模様も目が離せないところである。

このアニメには続編があり、舞台は変わるがこれもまたいい話である。
最後までこのアニメを観れば、絶対に観たくなるはずである。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 8

かっぱ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

いつか、きっと!

良いですねー・・素晴らしい!
古き良き時代とはよく言ったものです。

日常をこんなにわくわく観させてくれる作品、今はもうないのかな。。。

50話位ありましたがもっとみていたくなりますね。
軽く若草ロスです。

4姉妹みんな素敵だけど、
特に末っ子のエイミーが可愛らしくて好きです。

原作はリトルウーマンというらしい。
是非読んでみたい。

ひょっとしてエイミー目線だったりするのでしょうか。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

61.7 4 19世紀でアメリカなアニメランキング4位
スチームボーイ - STEAM BOY(アニメ映画)

2004年7月17日
★★★★☆ 3.4 (175)
810人が棚に入れました
『スチームボーイ』(STEAMBOY)は、大友克洋が監督した2004年公開のSFアニメ映画作品。
【ストーリー】舞台は19世紀のイギリス。科学技術が目覚しい発展を遂げていた時代。
マンチェスターに住むレイは、オハラ財団に出向したため渡米している発明家の祖父ロイドと父エドワードと同じく、発明が好きな少年だった。

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

博士の異常な愛情

大友克洋監督、脚本村井さだゆき。
総製作費24億円、空想科学冒険活劇。

科学に夢を託した19世紀のイギリス。
人類の科学技術は目覚ましい発展を遂げ、
蒸気の力が世界を変えた。
舞台は万国博覧会が目前に迫るロンドン。
発明家の家系である主人公レイのもとに、
超高気圧のエネルギー「スチームボール」が届く。

90年代中頃に、
デジタルエンジンプロジェクトとして構想するも、
中核である「スチームボーイ」の製作期間は9年。
完成があまりにも遅すぎました。
企画段階では実現不可能だった映像も、
ソフトウェアの技術革新により楽々と更新され、
物語の終盤は作家も熱意を失ったのかと思う。

しかし、偶然手に取る機会があり、
何気に10年振りに視聴したのですが、
意外にも記憶以上に面白く反省しきりです。

美術や背景の驚異的な書き込み、
群衆もここまで動くのかと躍動感に感動します。
きっと世界観を楽しむアニメでしょう。

お時間ある方はぜひ。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 47

ソーカー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

続編が見たい

酷評が目立ちますが、映像も音楽も一級品でお話以外は完璧でした。
世間で言われてるほど酷い作品ではないと思いますが・・・当時見た時は確かにガッカリしました。
お話が陳腐すぎる上に、エンタメとしても微妙でしたから、大作揃いの2004年アニメ映画では最も期待はずれでした。

エンタメとして面白いかどうかは、主人公が重要と思いますが
今一つ本作の主人公はピリッとしないキャラでした。科学大好きと言う事以外これといった個性がない。意志の強さが感じられず、終盤になるまで迷いまくってましたね。あまり主人公らしくない。
逆にスカーレットは魅力的で際だっていたが、主人公の薄さはやはり残念なところ。
まぁ感嘆するようなもの凄いシーンの連続ですが、クライマックス長すぎてむしろ疲れる。

科学への妄執なんて扱う辺り陳腐ですが、「スチームボール」にはワクワクさせられました。平和利用と軍事利用の表裏とか・・・原発問題で紛糾してる今公開されていれば、エネルギー問題と武器輸出問題を関連して扱っている作品として、それなりの評価は受けていたかもしれません。
しかしこういうのは真面目に見ても白けるだけなので・・・・

やはり単純にブラックユーモア全開の方がもっと分かりやすくて面白いと思います
勢いはあったものの、「おふざけ」が足りなさすぎて、毒も足りなさすぎたなと。
アホ親子の大喧嘩をもっと馬鹿馬鹿しく見せてほしかった、そしたら傑作になってたかも。

本編よりエンドロールの方が非常に面白そうだったので、続編作ってほしいですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12

フローズン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

雰囲気は好きだけど

・19世紀ロンドンのレトロで力強いような雰囲気はすき
・作画はそりゃもう圧巻の出来、迫力がすごい
・しかし問題はおはなしと声優
・感覚的にしか物を語れなくて申し訳ないが、壮大だがわくわくしないあのおはなしは一体何が原因なのか気になる点
・個人的に声優の良し悪し、非声優起用は全く気にならない方なのだが(風立ちぬ庵野問題も個人的に全く問題なく受け入れられた)この作品の声優陣は受け入れられなかった
・妙に欠けていて惜しい作品という印象

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2
ページの先頭へ